日本の青い野鳥 62種 - 前編(blue,greenの野鳥たち)
今回は、日本の野鳥の中でも珍しい「青い鳥」を紹介していきます。名前に「アオ」や「ルリ」がついている野鳥はもちろん、名前に青は入っていないものの羽毛が青色に見える野鳥も出てきます。
(「日本の青い野鳥」ということなので、blueの青だけで無く、おまけ枠でgreenの青(青信号などの青)、つまりは緑色の野鳥たちも紹介します。)
サムネイルの鳥: コルリ


【①名簿一覧表】
前編 (本記事)
アオとつく日本の野鳥 9種
アオアシシギ、コアオアシシギ アオゲラ アオサギ アオジ
アオシギ アオナ(コオリガモ) アオバズク アオバト
ルリとつく日本の野鳥 4種
オオルリ コルリ ルリビタキ ルリカケス
青色がメインの日本の野鳥
オオルリ コルリ ルリビタキ カワセミ ヤマショウビン
ブッポウソウ イソヒヨドリ(オス)
緑色(青信号の青)がメインの日本の野鳥
アオジ アオバト アオゲラ
ヤマゲラ ノジコ(オス) ホンセイインコ メジロ、メグロ
ウグイス、ヤブサメ
ムシクイの仲間(メボソ、エゾ、センダイ、オオムシクイ)
後編
全身が青みを帯びた色の日本の野鳥
アオサギ ゴジュウカラ クロジ(オス) ゴイサギ ササゴイ
一部に青色が入っている/少し青みがかった 日本の野鳥
コチョウゲンボウ(オス) ルリカケス ツバメ(ノーマル、リュウキュウ、コシアカ)
ヤイロチョウ サンコウチョウ キジ(オス) オシドリ(オス)
カツオドリ(オス) サンカノゴイ(婚姻色) ヨシゴイ(オス)
ミゾゴイ、ズグロミゾゴイ ムラサキサギ カケス オナガ コムクドリ
カラスバト ソウシチョウ ヨシガモ(オス)
マガモ(オス) アメリカヒドリ(オス) ハシビロガモ(オス)
トモエガモ(オス) コガモ(オス) スズガモ(オス)
ホオジロガモ(オス) ヒメウ(夏羽) タゲリ(冬羽)
ドバト アオアシシギ、コアオアシシギ

【②写真一覧】 (鋭意作成中)
【前編】 (本記事)
アオとつく日本の野鳥 9種
アオアシシギ、コアオアシシギ アオゲラ アオサギ アオジ
アオシギ アオナ(コオリガモ) アオバズク アオバト
ルリとつく日本の野鳥 4種
オオルリ コルリ ルリビタキ ルリカケス
青色がメインの日本の野鳥
オオルリ コルリ ルリビタキ
カワセミ ヤマショウビン ブッポウソウ イソヒヨドリ(オス)
緑色(青信号の青)がメインの日本の野鳥
アオジ アオバト アオゲラ
ヤマゲラ ノジコ(オス) ホンセイインコ
メジロ メグロ ウグイス ヤブサメ
ムシクイの仲間(メボソ、エゾ、センダイ、オオムシクイ)
【後編】
全身が青みを帯びた色の日本の野鳥
アオサギ ゴジュウカラ クロジ(オス)
ゴイサギ ササゴイ
一部に青色が入っている/少し青みがかった 日本の野鳥
コチョウゲンボウ(オス) ルリカケス ツバメ(ノーマル、リュウキュウ、コシアカ)
ヤイロチョウ サンコウチョウ キジ(オス) オシドリ(オス)
カツオドリ(オス) サンカノゴイ(婚姻色) ヨシゴイ(オス) ミゾゴイ、ズグロミゾゴイ ムラサキサギ カケス オナガ コムクドリ カラスバト ソウシチョウ ヨシガモ(オス) マガモ(オス) アメリカヒドリ(オス) ハシビロガモ(オス) トモエガモ(オス) コガモ(オス) スズガモ(オス) ホオジロガモ(オス) ヒメウ(夏羽) タゲリ(冬羽) ドバト アオアシシギ、コアオアシシギ

【③解説一覧】
アオとつく日本の野鳥 9種
アオアシシギ
青とつくのでアオアシカツオドリのような色の足なのかと思いきや、草の茎のような黄緑色で落ち着いた色の足をしている。(あまり足が青いようには見えない。青々とした緑に似ているということだろうか)
全長35cmの旅鳥で、沿岸でも内陸でも様々な水辺で見られる。
コアオアシシギ
アオアシシギより一回り小さい、全長24cmの旅鳥。草の茎のような落ち着いた黄緑色の、すらりと長い足を持っている。(こちらもアオアシシギと同様に、あまり足が青く見えない。)
淡水域、特に泥場を好む。
アオゲラ
アオと名前についているが、漢字では「緑啄木鳥」と書くとおり、背中が緑色のキツツキ。
全長29cmの留鳥で、日本固有種。
オスメス両方とも、背中の色は抹茶ケーキのような、くすんで茶色っぽい緑色をしている。
アオサギ
身近な野鳥のうちの一種。
羽根は青灰色で体は白、くちばしと足先は黄色で、濃い紺色の長い冠羽がある。(確かに青っぽい配色のサギかもしれない)冬になると冠羽が短くなり、色合いも地味になる。
全長93cmの留鳥で、日本全国の様々な水辺に住んでいる。魚や蛙など様々な水辺の生き物を食べて暮らしている。
アオジ
オスは頭が深緑色で喉とお腹が黄色く、背中は茶褐色。
メスは全体的に茶褐色で、頭とお腹側が少し黄色っぽい。
全長16cmの留鳥又は漂鳥で、北海道~本州中部の山地林に住んでいるホオジロの仲間。
繁殖期の夏は林で昆虫を食べるが、冬は地上で種子などを探す姿が公園の林などでも見られる。名前の由来は「緑色=アオ、ホオジロの仲間=シトド」から、「アオシトド」が縮まって「アオジ」となった。
アオシギ
くちばしの先とお腹側がうっすら青っぽいジシギ類。
(背中側は赤茶色で、全体的に茶色っぽく見えるので、あまり青っぽくは見えない)
全長31cmの冬鳥で、シギの仲間としては珍しく山の渓流などで暮らす。
水深の浅い場所で昆虫類を食べて暮らしているので、人工の水路にいることもある。
アオナ(コオリガモ)
鳴き声が「アオッ、アオナ」と聞こえるので、この名前がついた。
オスは白い顔に黒い頬の模様、灰色と黒色の体、黒いくちばしの中央がピンク色になっていて、黒く細長い尾羽がある。メスは全体的に灰色で、くちばしも濃い灰色一色。
冬鳥で、全長はオスが60cm、メスが38cm(オスは尾羽が長い分、全長も大きい)
アオバズク
紫がかった紺色の体と黄色い大きな目が特徴的なフクロウの仲間。
全長29cmの夏鳥で、九州よりも北に渡ってくる。
林の木の洞に巣を作り、カブトムシやセミなどを食べて子育てをする。
「青葉が茂る頃に渡ってくる」のが名前の由来。
アオバト
全身黄緑色で、くちばしが水色のハトの仲間。
全長33cmの留鳥又は漂鳥として北海道~九州に住んでいる。
よく見かける街中の鳩ドバトと同じ全長。
植物の実を食べて暮らしているが、夏~秋には塩分やミネラルを補給するためか海岸へ海水を飲みに行く。ダーウィンが来た!でも「命がけ!荒波に挑む森のハト」として取り上げられた。(URL: https://www.ch-ginga.jp/detail/darwin/episode.html?id=21068)


ルリとつく日本の野鳥 4種
オオルリ
オスは胸から背中にかけて瑠璃色(見た目明るいコバルトブルー)で、お腹は白い。メスは全体的にオリーブがかった褐色で地味だが、ヒタキの仲間らしく目がつぶらで可愛い。全長17cmの夏鳥で、九州よりも北に渡ってくる。「ヒーリーリー」と美しい声でさえずる、「日本三鳴鳥」のうちの一種。(後2種はウグイスとコマドリ)オスだけでなくメスもさえずり、鳴き交わすこともある。
コルリ
オスは頭と背中側が紺色っぽい青色(見た目:明るめのプルシャンブルー)で、喉元とお腹は白い。メスは頭と背中が緑っぽい褐色(見た目梅幸茶っぽい)でお腹は白っぽく、つぶらな目をしている。
全長14cmの夏鳥で、本州中部よりも北に渡ってくる。(スズメ:全長15cmよりも少し小さい)地上で尾羽を振りつつ、昆虫類を探して食べる。
ルリビタキ
オスは頭と背中が青色で、脇が明るい山吹色、お腹と喉元は白く、白い眉模様がある。(見た目:ロイヤルブルーとひまわり色)メスは頭と背中がオリーブがかった褐色で、お腹は白っぽく、脇は鈍い山吹色で白いアイリングがある。
全長14cmの漂鳥で、夏は亜高山帯の針葉樹林で繁殖し、冬は平地林や公園で昆虫や植物の実を食べて暮らす。
ジョウビタキと似た暮らしをしているが、ジョウビタキよりも薄暗い場所が好き。
ルリカケス
暗い瑠璃色と赤っぽいレンガ色が銀河のような、美しいカラスの仲間。(見た目:濃藍と紅海老茶っぽい)全長38cmの留鳥で、奄美大島、加計呂麻島、請島に住んでいる日本固有種。
しゃがれた声で鳴く。
オスメスのつがいだけでなく他の若鳥も育児を手伝う「ヘルパー行動」が見られる。

青色がメインの日本の野鳥
オオルリ、コルリ、ルリビタキ(写真のみ)
オオルリ コルリ ルリビタキ
カワセミ
頭と背中が鮮やかなコバルトブルーで、目元とお腹は淡くくすんだオレンジ色をしている。(見た目:みかん色)光の角度によって緑がかって見えることもある。
オスもメスも体の色はほぼ同じだが、オスはくちばしが黒く、メスは下くちばしがオレンジ色をしている。
漢字で書くと「翡翠(訓読み:ヒスイ)」
全長17cmの留鳥で、魚やザリガニなどを食べて暮らしている。清流にいるイメージだが、意外と公園の池などにも住んでいて、たくましい。水面に張り出した木の枝の上から魚を探し、一気にダイビングして魚を捕らえる。
捕った魚を枝にたたきつけて柔らかくし、頭から丸呑みにして食べる。木の枝に魚の鱗が付着してキラキラしているときは、カワセミが食事をした跡かもしれない。
ヤマショウビン
濃い青色の羽根と淡いオレンジ色のお腹、真っ赤な太いピカピカのくちばしが目立つカワセミの仲間。(見た目:光沢のあるパウダーブルー、薄めのオーロラ色、シグナルレッド)
胸元と喉元は白く、ベレー帽のような黒い頭につやつや黒い目をしている。
漢字で書くと「山翡翠(山+ヒスイ)」
全長30cmの旅鳥または迷鳥で、各地で稀に春や秋に見られる。河川、湖沼、海岸などに住んで、魚など水辺の生き物を食べて暮らしている。
2007年に福井県で日本で初めての繁殖が確認された。
ブッポウソウ
柔らかい黒色の頭と青い喉元、光沢のある緑がかった青い体に薄紅のくちばしと足が目立つ。(見た目:黒橡~瑠璃色~浅葱色のグラデーション)
淡い色合いとつぶらな目が可愛らしい鳥。
ブッポウソウ目ブッポウソウ科ブッポウソウ属のユニークな鳥。
全長30cmの夏鳥で、主に西日本に渡ってくる。里山や大きな木のある社寺林などで、トンボやセミなどの虫を食べて暮らしている。環境変化により営巣場所が減ったため、巣箱をかける保護活動が行われている。飛んだとき、翼の内側の真ん中にある白い線が目立つ。
イソヒヨドリ(オス)
身近な野鳥のうちの一種。全長25cmの留鳥。
(管理人的には「1番綺麗に鳴く野鳥」だと思います。)
オスは上半身と背中が綺麗な藍色でお腹が茶褐色(見た目:花田色と赤錆色)、
メスはヒヨドリと似ていて全身灰色っぽいが、ヒヨドリにはある頬の赤褐色がない。
姿形は似ているが、イソヒヨドリはヒタキ科、ヒヨドリはヒヨドリ科と科の違う鳥。
「ツピー、ヒー、リー」など、澄んだ声で複雑にさえずる。(びっくりするほど綺麗な鳴き声です。)
屋根の上や立体駐車場など、高い場所でさえずっているので、綺麗なさえずりが聞こえたら上を見回してみると良い

緑色(青信号の青)がメインの日本の野鳥
アオジ、アオバト、アオゲラ
ヤマゲラ
アオゲラに似ているが、北海道にだけ住んでいる留鳥。(ごく稀に本州に迷い込むこともある)全長30cm。
背中と尾羽がくすんだ黄緑色をしている。(見た目:モスグリーン)アオゲラに比べて頭の赤い部分が少ないのが特徴的。(オスは額の部分だけ赤く、メスは赤い部分がない)
ノジコ(オス)
レモンイエローのお腹が目立つ、全身黄緑色のホオジロの仲間。
アオジに似ているが、ノジコの方がより黄色っぽく、茶色味がない。(見た目:苔色~鶸色)全長14cmの夏鳥で、日本海側や東北地方へ渡ってくる。明るい林で昆虫を食べて暮らし、日本だけで繁殖する。野の道で見られることから「野路子」の名前がついた。
ホンセイインコ
全身緑で赤く太いくちばしとオレンジの輪っかのような目が特徴的な、見るからに外来種のオウムの仲間。(見た目:リーフグリーン、ポピーレッド)
インドやスリランカに住んでいて、言葉を覚えることからペットとして持ち込まれたものが野生化した。定着が確認されたのは1960年代。数百羽ほど集まって市街地の街路樹をねぐらにする。東京、名古屋、大阪、新潟で観測記録がある。
植物の種や実などを食べて暮らしていて、生態系への影響が懸念されている。(原産国では、農作物を荒らすので害鳥扱いされている)

メジロ、メグロ
メジロ メグロメジロ
メジロは全長12cmの留鳥又は漂鳥で、梅や桜の蜜を好む。
黄緑色で目立つからか、ウグイスに間違われる。(見た目:くすんだ萌黄色)
縫い付けたような白いアイリングが特徴的。メグロ
メグロはメジロの仲間で、小笠原諸島にのみ生息している世界的にも珍しい野鳥。笛のような声で鳴く。目の周りに三角形の黒い模様がある。メジロと比べて灰色っぽく、全長14cmと少し大きめ。(見た目:利休鼠~レモンイエロー)
ウグイス、ヤブサメ
ウグイス ヤブサメ
ウグイスは黄緑色のイメージだが、実際は茶褐色をしている。(見た目:朽葉色)
全長はメスが14cm、オスが16cmとスズメくらいの大きさで、留鳥又は漂鳥。
春になると「ホーホケキョ」と鳴く、日本三鳴鳥のうちの一種。(後2種はオオルリとコマドリ)
ヤブサメはウグイス科で、全長11cmの小さな夏鳥。
ウグイスやムシクイ類と違って、尾羽がとても短く、レモンのようなシルエットをしている。ウグイスよりも少し茶色っぽく、目の上に黄色っぽい線模様がある。(見た目:ヘイズル、砥の粉色)「シシシシ」と虫の音のような高温でさえずる。
ムシクイの仲間(メボソ、エゾ、センダイ、オオムシクイ)
ムシクイの仲間(メボソ、エゾ、センダイ、オオムシクイ)
ムシクイ類(ムシクイ科ムシクイ属)はみんな姿形が似ていて姿だけで見分けるのはとても難しいので、鳴き声で判別する。メボソムシクイとオオムシクイは、鳴き声が違う同種と考えられていたが、DNA鑑定をしてみて初めて別種であることが分かった。
メボソムシクイは「チョリチョリチョリチョリ」、エゾムシクイは「ヒーツーキー、ヒーツーキー」、センダイムシクイは「チヨチヨビー」、オオムシクイは「ジジロジジロ」と鳴く。
背中側がオリーブがかった褐色(見た目:利休茶)で、喉元とお腹は白っぽく、目の上に白っぽい線模様がある。
みんな夏鳥で、全長はメボソムシクイ/オオムシクイ/センダイムシクイが13cm、エゾムシクイが12cmで、スズメより小さい。

後編へ続く
後編へのリンク
後編の名簿
全身が青みを帯びた色の日本の野鳥
アオサギ ゴジュウカラ クロジ(オス)
ゴイサギ ササゴイ
一部に青色が入っている/少し青みがかった 日本の野鳥
コチョウゲンボウ(オス) ルリカケス ツバメ(ノーマル、リュウキュウ、コシアカ)
ヤイロチョウ サンコウチョウ キジ(オス) オシドリ(オス)
カツオドリ(オス) サンカノゴイ(婚姻色) ヨシゴイ(オス) ミゾゴイ、ズグロミゾゴイ ムラサキサギ カケス オナガ コムクドリ カラスバト ソウシチョウ ヨシガモ(オス) マガモ(オス) アメリカヒドリ(オス) ハシビロガモ(オス) トモエガモ(オス) コガモ(オス) スズガモ(オス) ホオジロガモ(オス) ヒメウ(夏羽) タゲリ(冬羽) ドバト アオアシシギ、コアオアシシギ

あとがき
blueの青だけでなく、新緑のアオ(green)まで含めると、
日本にもたくさんの「青い野鳥」たちが住んでいます。
散歩に行けば、意外と近くで「幸せの青い鳥」に出会えるかもしれません。
画像出典、参考書籍
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《参考書籍》
・監修:樋口広芳 著:石田光史 『ぱっと見わけ 観察を楽しむ 野鳥図鑑』 ナツメ社 , 2018年9月10日 第15刷発行
・大橋弘一 『日本野鳥歳時記』 , ナツメ社 , 2015年12月31日 初版発行・植田睦之[監修] 『日本の野鳥 さえずり・地鳴き図鑑』 増補改訂版 , メイツ出版 , 2020年10月30日 第1版発行
・一日一種[著] 『身近な「鳥」の生きざま辞典』 , SB Creative , 2021年6月10日 第6刷発行
・福田邦夫 『色の名前事典507』 , 主婦の友社 , 2020年11月20日発行
・鳥類学者 川上和人×マンガ家 マツダユカ 『トリノトリビア 鳥類学者がこっそり教える野鳥のひみつ』 , 西東社 , 2018年10月5日 発行 第1版

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