白と黒の鳥 モノトーンな日本の野鳥 74種(無彩色:白~灰~黒色の野鳥) 

野鳥たちは、色鮮やかなものから地味なものまで様々な色合いをしています。
今回は、色鮮やかな自然の中でクールに生きる、
白黒のモノトーン:無彩色の日本の野鳥たちを紹介していきます。

サムネイルの鳥:      ハシブトガラ  

目次  
白黒の日本の野鳥  
 見た目が白黒の日本の野鳥 44種 
 クロ/コクとつく日本の野鳥 10種
 シロ/シラ/ハクとつく日本の野鳥 17種
 ハイイロ/ハイとつく日本の野鳥 3種
① 名簿一覧表  
② 画像一覧表 (鋭意作成中)  
③ 解説一覧  (鋭意更新中 あと24種  クロツグミ まで )
あとがき
画像出典、参考書籍

サムネイル候補の鳥    カササギ  

目次

名簿一覧表 

見た目が白黒 

ハシブトガラス、ハシボソガラス  カラ類(ヒガラ、ハシブトガラ、コガラ) 
セキレイ(ハクセキレイ、セグロセキレイ) ライチョウ(冬羽のメス) シマエナガ 
シラコバト タゲリ(夏羽) ミユビシギ(冬羽) ソリハシセイタカシギ 
コサギ、チュウサギ、ダイサギ(シラサギ達) アマサギ(冬羽) クロサギ 
アジサシ、エリグロアジサシ  ウミスズメ、カンムリウミスズメ 
ケイマフリ ウミガラス コクマルガラス ミヤマガラス カササギ ギンムクドリ 
ナベヅル クロヅル オオバン ウミウ マミジロ ツミ(オス) 
シロハラミズナギドリ、フルマカモメ コアホウドリ 
アビ(冬羽)、シロエリオオハム ミコアイサ(オス) コオリガモ(オス) 
キンクロハジロ(オス) カイツブリ類(冬羽) コウノトリ

クロ/コクとつく

クロガモ、ビロードキンクロ、クロヅル、クロアジサシ、クロジ、クロサギ、クロツラヘラサギ、クロツグミ、クロアシアホウドリ、コクガン、コクマルガラス 
  

シロ/シラ/ハクとつく

シロハラ、シロチドリ、シロガシラ、シロカモメ、シロハラクイナ、シロハラミズナギドリ、シラコバト、シラサギ(ダイサギ、チュウサギ、コサギ)、ハジロカイツブリ、ハジロコチドリ、ハクセキレイ、ハクチョウ(コブ/コ/オオ)、ハクガン
   

ハイイロ/ハイとつく

ハイイロチュウヒ、ハイイロミズナギドリ、ハイタカ

画像一覧表

見た目が白黒 

ハシブトガラス、ハシボソガラス

 
カラ類(ヒガラ、ハシブトガラ、コガラ)
    
ヒガラ       ハシブトガラ     コガラ
 
セキレイ(ハクセキレイ、セグロセキレイ) ライチョウ(冬羽のメス) シマエナガ
                 
ハクセキレイ     セグロセキレイ                シマエナガ  

      
シラコバト      タゲリ(夏羽)   ミユビシギ(冬羽) ソリハシセイタカシギ 

コサギ、チュウサギ、ダイサギ(シラサギ達) アマサギ(冬羽) 

          
クロサギ アジサシ、エリグロアジサシ 

                  
ウミスズメ、    カンムリウミスズメ ケイマフリ ウミガラス(夏羽の姿)

                
コクマルガラス ミヤマガラス カササギ      ギンムクドリ 

                
ナベヅル   クロヅル    オオバン    ウミウ 

                           
マミジロ(オス) ツミ(オス) シロハラミズナギドリ、フルマカモメ 

                                              
クロアシアホウドリ コアホウドリ アビ(冬羽)、シロエリオオハム 


ミコアイサ(オス) コオリガモ(オス) キンクロハジロ(オス) 

(冬羽のハジロカイツブリ)  
カイツブリ類(冬羽)              コウノトリ

クロ/コクとつく

                 
クロガモ、クロヅル、クロアジサシ、クロジ、
クロサギ、クロツラヘラサギ、クロツグミ、クロアシアホウドリ、
コクガン、コクマルガラス 
  

シロ/シラ/ハクとつく

シロハラ、シロチドリ、シロガシラ、シロカモメ、
シロハラクイナ、シロハラミズナギドリ、シラコバト、
シラサギ(ダイサギ、チュウサギ、コサギ)、
ハジロカイツブリ、ハジロコチドリ、ハクセキレイ、
ハクチョウ(コブ/コ/オオ)、ハクガン
   

ハイイロ/ハイとつく

ハイイロチュウヒ、ハイイロミズナギドリ、ハイタカ

解説一覧 

見た目が白黒 

ハシブトガラス、ハシボソガラス

全身真っ黒で艶々している。
よく見る街中のカラスはハシブトガラス。
全長56cmの留鳥で、小笠原諸島以外の日本全国に住んでいる。
雑食で、虫や果物、脂っこい物(石鹸など)まで何でも食べる。
動物の死骸を食べる「掃除屋」としての役割を担っている。街中でゴミをあさるのも食べ物探しの一環。
くちばしが太いので「嘴太烏」の名前がついた。
都市部に多く住んでいて、「カーカー」と鳴く。
ハシボソガラスは全長50cmの留鳥で、九州よりも北に住んでいる。
ハシブトガラスと比べるとくちばしが細めで、額がなだらかな形をしている。
声は「ガーガー」と濁っていて、都市部には少なめ。
公園や農耕地、林などに住んで、ハシブトガラスと同じく何でも食べる雑食の掃除屋。
ハンガーやビニールテープなどの人工物を使って巣を作ることもある。

カラ類(ヒガラ、ハシブトガラ、コガラ)

ヒガラ

全長11cmと、シジュウカラ類の中で最も小さい。
日本の野鳥の中でも、2番目に小さい。(日本最小の野鳥キクイタダキは、全長10cmで体重は5gほど)
頭と喉元は黒、頬は白で、体は灰色。頭に小さなトサカ(短い冠羽)がある。   

ハシブトガラ

全長13cmの留鳥で、北海道にだけ住んでいる。
黒い艶々のベレー帽模様と、真っ白なお腹が可愛らしい。コガラととても似ている。(コガラはベレー帽の艶が控えめ)
「チヨチヨチヨチヨ」とさえずる。   

コガラ

全長13cmの留鳥で、九州よりも北の日本全国に住んでいる。
北海道にはコガラとハシブトガラが両方居る。「ヒーホー、ヒーヒーホー」とさえずる。
冬はシジュウカラやエナガ、ヤマガラ、ゴジュウカラなど他の種の小鳥たちと混群を作る。
混群を先導して、餌を見つけると「ディーディーディー」と鳴いて仲間に知らせる。

混群の仲間達(エナガ、ヤマガラ、ゴジュウカラ)

    
エナガ        ヤマガラ      ゴジュウカラ


おまけ:身近なカラ類、シジュウカラ 

白いお腹にネクタイのような黒い縦線が目立つ、言葉を操る小鳥。背中が黄緑色をしている。全長15cmの留鳥で、小笠原諸島以外の日本全国に住んでいる。
小さな体と大きな好奇心を活かして、街路樹や人工物の隙間(ポストや電柱、植木鉢など)を住処に、都会の暮らしに順応した。

セキレイ(ハクセキレイ、セグロセキレイ)

ハクセキレイ

全長21cmの留鳥で、街中にも住んでいるすらっとした小鳥。
コンビニの駐車場などで尾羽をピコピコと上げ下げしながら歩き回る姿が可愛らしい。
「チチッチチッ」と鳴きながら飛び立つ。
顔の周りが白く、過眼線は黒い。地面を歩き回って昆虫などを探して食べる。 

セグロセキレイ

全長21cmの留鳥で、ハクセキレイと比べると川辺に暮らしている。
顔の周りが黒く、過眼線は白い。
ハクセキレイと混ざって行動していることもあり、住み分けは緩やか。
昆虫などを食べる動物食。

ライチョウ(メス)

全長37cmの留鳥で、北アルプスや南アルプスなどの高山地帯に住んでいる。
高山信仰と結びついた「神の鳥」なので、狩りの対象にならなかったため人を怖がらない。
ふっくらとした体が可愛らしい。
冬は体が白く、夏は茶色になって、高山の環境に溶け込む。
オスは目の上が赤いが、メスは顔も含めて真っ白な冬羽になる。
ハイマツを住処に、高山植物を食べて暮らしている。
近年は温暖化や登山客の捨てたゴミなどで天敵が増え、個体数が減少していた。
保護活動により数は回復傾向
NHKの番組、ワイルドライフでも取り上げられた  
  ワイルドライフ 「絶滅から救え! 中央アルプス ライチョウ復活作戦」
   (https://www.nhk-ondemand.jp/goods/G2021118225SA000/


シマエナガ

全長14cm。エナガの亜種で、北海道に住んでいる真っ白な小鳥。
顔の周りの黒い模様が無いのでつぶらな瞳がよく目立ち、とてもかわいい。
冬になると北海道の街中、札幌駅などでも見られる。
(Twitterでかわいいシマエナガ写真が見られるアカウント:ぼく、シマエナガ もおすすめ:@daily_simaenaga)


シラコバト

全身白っぽいキジバトの仲間。
うっすらと灰褐色で、首元にチョーカーのような細い黒線がある。眼は赤っぽい黒色。
全長32cmの留鳥で、埼玉県越谷市付近~関東圏に住んでいる。(1956年、「越谷のシラコバト」として天然記念物となっている)
在来種扱いだが、関東圏にしか居ないことから江戸時代に移入されたものが野生化しているとの見方が有力。
農耕地や林に住んで、植物の種などを食べる。


タゲリ(夏羽)

黒くシュッと伸びた長い冠羽が目立つ。
顔と喉元、翼は黒く、お腹と頬周りは白い。(少しハクセキレイに似たカラーリング)
全長32cmの冬鳥で、本州より南に渡ってくる。北陸地方では繁殖記録がある。
冬羽になると背中が錆びた金属のような、緑や紫色の光沢がある灰色になる。
見通しの良い田畑などに群れで暮らす。
チドリの仲間(チドリ科)なので、ふらふらと方向を変える千鳥足で歩き回る。
「ミュー」と鳴いて飛び立つ。



ミユビシギ(冬羽)

くちばしと足は黒く、翼は淡い灰色で体は白い。
くちばしが短めで、可愛らしい顔をしている。
全長19cmの旅鳥又は冬鳥で、主に海岸の砂浜や干潟に渡ってくる。
夏羽になると上半身が赤茶色になる。(見た目:狐色)
後指が殆ど無く三本指なのが名前の由来。
波打ち際で群れになって、波を避ける為に駆け足で移動する様子はとてもかわいい。


ソリハシセイタカシギ

上に反った細長いくちばしが特徴的。
くちばしと頭頂部~首の後ろ、羽の周りは黒く、残りは白い。
眼は真っ黒で、目立たないがつぶらで可愛らしい。
全長43cmの旅鳥又は冬鳥で、各地で稀に見られる。ほとんど一羽のみで観察される。
英語名は「アボセット」
湖沼や干潟などに住んで、セイタカシギと同じように高い背と長い足を活かし、水深の深い場所でも食べ物の魚や甲殻類を探す。

コサギ、チュウサギ、ダイサギ 

体が真っ白なので、俗にまとめて「シラサギ」と呼ばれる。
サイズ感はそれぞれ全長 小:61cm、中:69cm、大:80~90cm 
コサギとダイサギは留鳥だが、チュウサギは夏鳥として本州~九州へ渡ってきて繁殖する。九州南部よりも南では越冬することもある。
水田~海岸まで様々な水辺に住んで、魚や甲殻類などを食べて暮らしている。
三種の違いはサイズ感以外に、
冬羽の時のくちばしの色(コサギは黒いままで、ダイサギとチュウサギは黄色くなる)、
くちばしの切れ込みの深さ(ダイサギはくちばしの切り込みが深く、口が大きめ)
ダイサギの亜種に「チュウダイサギ」という夏鳥も居る。

アマサギ(冬羽)

           アマサギ(夏羽の時)
夏鳥として本州より北に渡ってくるが、九州より南では越冬する個体も多い。
全長51cmで、冬羽は全身真っ白でくちばしは黄色い。 
夏羽になると頭から首にかけて黄色っぽいオレンジ色の毛がフサフサになる。
飴色/亜麻色をしているのが名前の由来。
サギの仲間としては珍しく乾燥した草地を好み、バッタなどの昆虫を食べて暮らしている。
農作業中の機械の周りで、飛び出してくる昆虫を食べておこぼれに預かる光景も見られる。

クロサギ

全身真っ黒なサギ。
実際は黒色型と白色型が居て、白色型は全身真っ白。
岩場の多い九州よりも北では黒色型が多く、白い砂浜の多い南西諸島では白色型の割合が高くなる。
全長62cmの留鳥で、海辺の岩場や砂浜に住んで魚を待ち伏せて捕まえる。
(コサギの仲間で、コサギは全長61cmと体格がほぼ同じ)

      

アジサシ、 エリグロアジサシ  

アジサシは全長35cmの旅鳥で、春と秋の渡りの時期に
日本全国の海岸や干潟、河口などの砂浜に数百羽ほどの大きな群れで渡ってくる。
海に飛び込み、魚を突き刺すようにして捕るのが名前の由来。
くちばしと頭の上半分は黒く、喉から胸は白色で、体は灰色っぽい。 

エリグロアジサシは全長30cmの夏鳥で、奄美諸島より南の南西諸島に渡ってくる。
真っ白な体に目元の黒い線が目立つ。
海辺の岩礁などで繁殖し、魚を食べて暮らしている。


ウミスズメ、カンムリウミスズメ

ウミスズメは全長26cmの留鳥又は冬鳥で、外洋に住んでいる。
海の上に住んでいるので、観察したい時は船に乗る必要がある。
北海道周辺の島で繁殖する個体も居て、繁殖期以外の時期は九州よりも北の海で10羽ほどの小さな群れで暮らしている。
丸っこく小さなペンギンが腹ばいで浮いているような、とても可愛らしい海鳥。
深く潜って魚を捕らえる。  

カンムリウミスズメは全長24cmの留鳥で、本州~九州の島々や伊豆諸島で繁殖する。
繁殖期以外も日本周辺の海に住んでいる個体も居る。
小さな黒い冠羽が髪の毛のようにも見える。

ケイマフリ

夏羽は全体的に濃いめの灰色で、眼の周りが勾玉型に白い。
冬羽は全体的に黒っぽくなり、眼の周りの白い勾玉模様が小さくなる一方で、お腹が白くなる。
全長37cmの留鳥又は冬鳥で、北海道天売島/ユルリ島/モユルリ島/下北半島などで繁殖する。
繁殖期以外は本州北部~北海道の海の上に住んで、魚や甲殻類などを食べて暮らしている。
ウミスズメ科ウミバト属。
紅葉のような赤い足が名前の由来。
(赤い足のことをアイヌ語で「ケマフレ」と呼ぶことから和名がついた)

ウミガラス(夏羽の姿) 

夏羽だと頭と背中が黒く、お腹と羽は白い。
冬羽になると、喉元から頬の部分が白くなる。
全長43cmの冬鳥で、北海道天売島で繁殖する個体が少し居る。
繁殖期以外は冬鳥として本州北部~北海道の海に住んでいる。
海に潜って、魚やイカなどを食べて暮らしている。
鳴き声から「オロロン鳥」とも呼ばれる。
昔は北海道天売島に数万羽が住んでいたが、漁業の網に間違ってかかったり、オオセグロカモメなど天敵が増えたことで数が減っていった。
天売島では繁殖するウミガラスを増やして繁殖地を維持するため、模型や鳴き声の音声などでウミガラスを呼び寄せようとしている。

ミヤマガラス 

おでこが盛り上がった、全身真っ黒なカラス。くちばしが白っぽい。
全長47cmの冬鳥で、全国の農耕地や干拓地に大群で渡ってくる。
昆虫や種子を地面で探して食べる雑食で、時々数百羽ほどの大きな群れで行動する。


カササギ 

肩とお腹が白く、他は真っ黒な艶々のカラス。
よくよく見ると、翼に青っぽい光沢があって、尾羽も長く美しい。
全長45cmの留鳥で、主に九州北部に住んでいる。
朝鮮半島から持ち込まれたものが住み着いた帰化種だと言われている。
昆虫や植物の実を好んで食べる雑食で、地面で食べ物を探す事も多い。
「カチカチ」と鳴くので、九州では「カチガラス」と呼ばれている。
たくさんのカササギが並んで天の川を橋渡しする、という「七夕伝説」もある。

ギンムクドリ 

灰色っぽいムクドリ。
頭は白っぽいクリーム色で、体は澄んだ灰色、翼の先端は紺色っぽい。
全長24cmの旅鳥又は冬鳥で、少数が日本海側の島々や西日本で見られる。
地上を歩きながら、虫や果実を食べて暮らす。
黒っぽくくちばしがオレンジ色の普通のムクドリに混じっていることがあるので、ムクドリの群れを見かけたら白い個体が居ないか観察してみると良い。

ナベヅル 

目元と頭のてっぺんが黒く、首から下の体は灰色で、頬から喉は白い。
全長100cmの冬鳥で、日本国内に最も多く渡ってくるツルの仲間。
ナベヅルは全体で推定12000羽ほど居るが、そのうち9割ほどが鹿児島県出水平野で越冬する。
その他にも山口県周南市にも渡ってくるが、それ以外の地域ではあまり見られない。
越冬地が少ないのは種の存続の面から考えると望ましくない状況なので、
分散して越冬してくれないかと研究者や関連団体は対策しているが、
まだ安心できない状況である。
農耕地で穀物、昆虫、カエルなどを食べて暮らしている。

クロヅル 

顔周りが黒く、頭頂部は白色で、首から体、足まで柔らかな灰色をしている。
全長115cmの冬鳥又は迷鳥で、鹿児島県出水平野には毎年数羽が渡ってくる。
ナベヅルと交配して、体が少しだけ白っぽい「ナベクロヅル」が生まれることがある。
水田、農耕地、草地などに住んで、穀物や虫、蛙などを食べて暮らしている。


オオバン 

くちばしとおでこが白く、他はくすんだ黒色をしているクイナの仲間。
よく見ると、眼が赤い。
全長39cmの留鳥又は冬鳥で、元々関東より北に住んでいたが、
最近は見られる個体が増えて全国の淡水域の水辺に住むようになった。
年に2~3回繁殖する、逞しい野鳥。
植物を多めに食べる雑食で、水生植物を好んで食べる。
赤と黄色のくちばしをしているバンよりも、少し体が大きい。

ウミウ 

頬が白く、それ以外は全身黒色。
婚姻色になると、腰の辺りに一部白い毛が生えてくる。
海に住んでいる、鵜飼いに使われる鵜。
全長84cmの留鳥で、九州よりも北で局地的に繁殖し、繁殖地周辺にずっと住んでいる。
それ以外の地域でも冬鳥として渡ってくることがあり、南西諸島でも見られたことがある。

マミジロ(オス) 

眉の辺りが白く、体は黒っぽい。
全長23cmの夏鳥で、本州中部よりも北に渡ってくる。
良く茂った薄暗い森に好んで住み、昆虫や植物の実を食べて暮らす。
春と秋の渡りの時期には、公園の林などでも見られる。
同じヒタキ類のアカハラに似た声で、寂しげにさえずる。

ツミ(オス)

頭と背中は灰色で、お腹がくすんだ白色をしている。
全長はオスが27cm、メスが30cmの小柄なタカの仲間。
留鳥又は夏鳥で、日本全国にやってくる。
猛禽類なので、スズメやシジュウカラなどの小鳥を食べる。

シロハラミズナギドリ、フルマカモメ 

ミズナギドリ科の海鳥。
(淡色型)
フルマカモメは全長49cmで、本州中部より北~北海道沿岸に住んでいる。
日本近海に多い暖色型は全身が灰色で、淡色型は全体的に白っぽく羽の一部が灰色。
   
シロハラミズナギドリは全長31cmで、小笠原諸島に住んでいる。
飛んでいる時に見える体の澄んだ白色と、翼のはっきりとした黒色のコントラストが美しい。

コアホウドリ 

翼と背中は褐色がかった濃い灰色で、頭と体、羽の内側は白い。尻尾の先は黒
目の周りにアイシャドーのような模様で、伏し目がちの切れ長の目に見える。
全長80cmの留鳥又は漂鳥で、晩秋~初冬に太平洋航路で多く見られる。
北太平洋に住んでいて、繁殖期は小笠原諸島聟島、繁殖期以外はベーリング海やアラスカ湾で暮らしている。

アビ(冬羽)

アビ目アビ科アビ属の、大きな海鳥。
アビは全長63cmの冬鳥で、九州よりも北の沿岸部に渡ってくる。
アビの仲間の中では1番小柄。
冬羽では頬と喉元とお腹が白く、他がスッキリした灰色でスタイリッシュな配色をしている。
夏羽になると、喉元に赤茶色の模様が出てきて、頭~首にかけて柔らかい灰色になって可愛らしい。
上を向く姿勢も可愛らしい。
足が体の後ろ側の方にについているので、潜水が得意。  



ミコアイサ(オス) 

目元と後頭部の黒い模様と、真っ白な顔周りと胸元がパンダのように見えるので、
パンダガモとも呼ばれる。
体は全体的に真っ白で、それが神子の白装束に見えるので「神子秋沙」という名前がついた。
メスは頭に赤褐色のふわふわした羽毛が生えている。
全長42cmの冬鳥で、九州よりも北に渡ってくる。北海道では繁殖する個体も少しいる。
湖、川、池などの淡水域に住んで、潜って小魚などを捕まえて食べる。


    コオリガモ(メス)

コオリガモ(オス)

オスはくちばしと頬の一部、体の下部分が黒く、頭頂部と喉元は白色で背中は灰色。
細く長い、黒い尾羽がある。
メスは顔が白っぽく、頬は黒っぽく、全体的に灰色をしている。
全長はオスが60cm、メスが38cm(オスは尾羽が長い分全長が大きい)の冬鳥で、
北海道と東北地方北部に渡ってくる。
北海道の北や東では、漁港で普通に見られる。
鳴き声が「アオナ」と聞こえるので、アオナとも呼ばれる。
オスの長い尾羽が、潜水するときに目立つ。


コウノトリ

上半身は白く、羽の先はとくちばしは黒っぽく、
目の周りの赤色とすらっとした赤い足が目立つ。
コウノトリ目コウノトリ科コウノトリ属。
全長112cmの冬鳥で、稀に大陸から日本各地に渡ってくる。
昔は日本全国に住んでいたが、乱獲や環境変化(営巣場所や食事場所が減った)によって国内育ちの個体は絶滅した。現在は大陸のコウノトリを人工飼育し、放鳥している。
2012年には、野生化した個体の繁殖成功が確認された。
赤ちゃんを運んでくる鳥と言われることもある。

クロ/コクとつく

クロガモ

オスは全身真っ黒な体に、鮮やかな黄色いくちばしが目立つ。
よく見ると目がつぶらで可愛らしい。
メスはくちばしが黒く、全身はココアブラウンっぽく、頬に白っぽい灰色の太線が入っている。やさしげな顔立ちに見える。
全長48cmの冬鳥で、日本全国に渡ってくる。
北海道沿岸と房総半島よりも北の太平洋側の海上に多く、北海道では漁港でも普通に見られる。
オスは口笛のような声でよく鳴く。
数十羽ほどの群れで居ることが多く、同じビロードキンクロ属のビロードキンクロが混じっていることもある。

ビロードキンクロ

オスは全身が茶色っぽい黒色で、オレンジ色のくちばしと白い目、
翼の白い帯とコブのある横長の顔が目立つ。
メスは全体的に灰色っぽく、顔のコブは控えめだが顔は横長。
全長55cmの冬鳥で、九州よりも北の沿岸部に渡ってくる。
同じビロードキンクロ属のクロガモの群れに混じっていることが多い。
(ビロードキンクロは、クロガモよりもくちばしがオレンジ色で、翼に白い帯があり、少し大きめ。そして目が怖い。)
春の渡りの時期には、関東地方の沿岸部でも大きな群れで見られることがある。

キンクロハジロ(オス) 

頭と羽、胸元は黒く、お腹は白色で、くちばしは青みがかった灰色をしている。
髪の毛のような長く生えそろった黒い冠羽と、黄色く鋭い目が目立つ。
背中は少し緑がかって、金属光沢のような色を帯びている。
メスは全体的に茶色っぽく、黄色い目が目立つ。
目が黄色い=金色 + オスは白黒の羽=クロハジロ が名前の由来。
全長40cmの冬鳥で、日本全国の公園などの淡水域に渡ってくる。
漁港などの波が無い海水域でも暮らしている。

クロヅル

顔周りが黒く、頭頂部は白色で、首から体、足まで柔らかな灰色をしている。全長115cmの冬鳥又は迷鳥で、鹿児島県出水平野には毎年数羽が渡ってくる。ナベヅルと交配して、体が少しだけ白っぽい「ナベクロヅル」が生まれることがある。水田、農耕地、草地などに住んで、穀物や虫、蛙などを食べて暮らしている。

クロアジサシ

チョコレートブラウニーのような、なめらかな茶色っぽい黒色の体と
粉砂糖がかかったような白っぽい頭頂部が特徴的なカモメの仲間。
全長42cmの夏鳥で、小笠原諸島や硫黄列島、宮古島などに渡ってくる。
その他の地域では、台風などで迷ってしまった個体などが稀に見られる。
主に海の上で暮らしていて、海上を飛んで魚を探しダイビングして捕まえる。
求愛行動で首を上下し合うので、
英語名は「Brown Noddy(茶色い うなずく者)」となっている。


クロジ

青みがかった灰色をしているホオジロの仲間。
角度によっては青みが強く見える。
全長17cmの漂鳥で、北海道~本州中部より北の林に局所的に住んでいて、冬になると平地にやってくる。
東アジア特産の種で、日本以外ではサハリン、千島列島、カムチャツカ半島南端だけに分布している。
昆虫や種子などを食べ、澄んだ声でさえずる。
「クロっぽいホオジロ=シトド」が名前の由来。
同じホオジロの仲間に「アオジ」も居るが、blueのアオではなくgreenのアオなのか、黄緑色をしている。

クロサギ、クロツラヘラサギ


クロツグミ

オスは黄色いくちばしと足とアイリング、黒い上半身と白いお腹(少し黒いまだら模様がある)が特徴的な、ペンギンのようなツグミ。
メスは上半身がくすんだ黄土色で、くちばしも落ち着いた黄色をしている。
全長22cmの夏鳥で、北海道~九州に渡ってくる。
林に住んで、湿地や林道などの地面に降りて食べ物を探す。
ヒタキ科なので、さえずりが上手でレパートリーも多い。
「キョロキョロ」というフレーズも交えてさえずる。

クロアシアホウドリ 

額と口元辺りが白っぽく、全体的に濃い灰色っぽいアホウドリ。
くちばしと足は黒く、首回りが少しチョコレート色がかっている。
全長70cmの夏鳥で、北太平洋に住んでいる。
伊豆諸島鳥島や小笠原諸島、尖閣諸島などで繁殖している。
繁殖期以外には、ベーリング海やアラスカ湾などで暮らしている。

コクガン

コクマルガラス

お腹と首の後ろが白い、小さなカラス。
全長33cmの冬鳥で、主に西日本に渡ってくる。
全身真っ黒なミヤマガラスの群れに混じっていることが多く、「シロマル」と呼ばれることもある。数が少ないので、もし見られたらラッキー。
農耕地や干拓地で、地面を歩き回って昆虫や種子などを食べる。
「キュ、キュ」とカラスらしからぬ声で鳴く。 
  

シロ/シラ/ハクとつく

シロハラ、シロチドリ、シロガシラ、シロカモメ、シロハラクイナ、シロハラミズナギドリ、シラコバト、シラサギ(ダイサギ、チュウサギ、コサギ)、
ハジロカイツブリ

カイツブリ(冬羽) 

冬羽では、全体的に褐色がかった濃いめの灰色をしている。
夏羽になると、頬の辺りが赤褐色になり、体が明るいきつね色になる。
全長26cmの留鳥で、本州中部より南に住んでいる。
東北地方北部~北海道では夏鳥。
日本最小のカイツブリで、身近な公園の池でも見られる。
マガモやカルガモは全長約60cmなので、
池などに浮いているカイツブリはとても小さく見えて可愛らしい。 

日本には、他にもカイツブリの仲間:アカエリカイツブリ、カンムリカイツブリ、ミミカイツブリ、ハジロカイツブリが居る。
皆、夏羽では赤褐色の羽が生え、冬羽になると灰色、白と黒などモノトーンで落ち着いた色になる。
冬鳥なので、冬羽を見る機会の方が多いと考えられる。
(日本国内にも局所的に繁殖地がある)
  ハジロカイツブリ(冬羽)  
  カンムリカイツブリ(夏羽)


  

シロエリオオハム

アビ目アビ科アビ属の、大きな海鳥。
シロエリオオハムは全長65cmの冬鳥で、アビの仲間の中ではよく見られる野鳥。
冬羽では喉元と胸元が白く、全体的に褐色がかった濃い灰色をしている。
夏羽になると、首元が灰色になり、全体的に灰色っぽくなる。
瀬戸内海では、かつてシロエリオオハムを使ってイカナゴを追い込む「アビ漁」が行われていたが、シロエリオオハムもイカナゴも激減したため「アビ漁」は消滅した。



ハジロコチドリ、ハクセキレイ、ハクチョウ(コブ/コ/オオ)、ハクガン
   

ハイイロ/ハイとつく

ハイイロチュウヒ、ハイイロミズナギドリ、ハイタカ

あとがき

思っていたよりもモノトーンな野鳥がたくさん居て、驚きました。
白い野鳥は、シマエナガやライチョウなど、
つぶらな瞳が分かりやすくとても可愛らしいです。

画像出典、参考書籍

画像出典:Pixabay、photoAC、いらすとや 、Beautiful Free Images & Pictures | Unsplash《参考書籍》
・監修:樋口広芳 著:石田光史 『ぱっと見わけ 観察を楽しむ 野鳥図鑑』 ナツメ社 , 2018年9月10日 第15刷発行 
・大橋弘一 『日本野鳥歳時記』 , ナツメ社 , 2015年12月31日 初版発行
・植田睦之[監修] 『日本の野鳥 さえずり・地鳴き図鑑』  増補改訂版 , メイツ出版 , 2020年10月30日 第1版発行
・一日一種[著] 『身近な「鳥」の生きざま辞典』 , SB Creative , 2021年6月10日 第6刷発行
・鳥類学者 川上和人×マンガ家 マツダユカ 『トリノトリビア 鳥類学者がこっそり教える野鳥のひみつ』 , 西東社 , 2018年10月5日 発行 第1版 
・福田邦夫 『色の名前事典507』 , 主婦の友社 , 2020年11月20日発行

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