頭にフサフサがついている 日本の野鳥たち - 前編(冠羽のある日本の野鳥54種)

「生えそろった羽毛でシルエットがまん丸の頭」も鳥のチャームポイントですが、中には頭に「フサフサがついている」ように見える冠羽をもつ鳥もいます。
今回は、「冠羽がある日本の野鳥」を紹介します。
見た目の印象を重視して、「フサフサの冠羽がある」「冠羽があるがフサフサではない」「フサフサだが冠羽ではない(ボサボサ頭、毛が逆立っているだけ=寝癖?)」の3つの区分に分けて紹介していきます。
(以下、この3つの区分をそれぞれ「フサフサ冠羽」「冠羽のみ」「フサフサのみ」と呼び分けることにします。)


     サムネイルの鳥: ヒレンジャク   

「フサフサ冠羽」「冠羽のみ」「フサフサのみ」 日本の野鳥 名簿一覧表

【前編】 (本記事)

「フサフサ冠羽」

エゾライチョウ キジ キンクロハジロ ミコアイサ(愛称パンダガモ) カワアイサ(メス) 
 ウミアイサ カンムリカイツブリ ミミカイツブリ ズグロミゾゴイ 
 タゲリ ミサゴ カンムリワシ ヤツガシラ ヤマセミ 
 サンコウチョウ(とても尾が長い鳥) ヒガラ ヒバリ キレンジャク ヒレンジャク 
 カシラダカ ミヤマホオジロ 
(日本にいない時期には冠羽がある野鳥)ヘラサギ クロツラヘラサギ

【後編】

「冠羽のみ」

 オシドリ(オス) ゴイサギ ササゴイ アカガシラサギ 
 アオサギ ムラサキサギ コサギ  

「フサフサのみ」

 アカエリカイツブリ(夏羽) カワウ ウミウ アマサギ(夏羽) ジュウイチ 
 ツツドリ ヨタカ アカエリヒレアシシギ エトピリカ アリスイ 
 コゲラ カケス キクイタダキ シロガシラ ヒヨドリ マキノセンニュウ 
 シマセンニュウ オオヨシキリ コヨシキリ ギンムクドリ アトリ 
 ホオアカ キマユホオジロ ガビチョウ  

「フサフサ冠羽」「冠羽のみ」「フサフサのみ」 写真一覧  (鋭意作成中)

【前編】 (本記事)

「フサフサ冠羽」

 エゾライチョウ キジ キンクロハジロ ミコアイサ 
 カワアイサ(メス) ウミアイサ カンムリカイツブリ ミミカイツブリ 
 ズグロミゾゴイ  タゲリ 
 ミサゴ カンムリワシ ヤツガシラ ヤマセミ 
 
      
 サンコウチョウ     ヒガラ        ヒバリ 
 
       
 キレンジャク    ヒレンジャク     カシラダカ     ミヤマホオジロ

(日本にいない時期には冠羽がある野鳥)ヘラサギ クロツラヘラサギ

【後編】

「冠羽のみ」 

    
 オシドリ(オス)   ゴイサギ      ササゴイ     アカガシラサギ

 アオサギ ムラサキサギ コサギ  

「フサフサのみ」

                            
 アカエリカイツブリ(夏羽) カワウ ウミウ     アマサギ(夏羽) 
 ジュウイチ ツツドリ ヨタカ アカエリヒレアシシギ

   
 エトピリカ    アリスイ コゲラ カケス

     
 キクイタダキ    シロガシラ      ヒヨドリ     マキノセンニュウ 

 シマセンニュウ オオヨシキリ コヨシキリ ギンムクドリ
 

                 
 アトリ       ホオアカ キマユホオジロ  ガビチョウ


「フサフサ冠羽」「冠羽のみ」「フサフサのみ」 日本の野鳥 それぞれ簡単に解説 

「フサフサ冠羽」

エゾライチョウ

羽団扇(はねうちわ)のような短いフサフサの冠羽が雌雄ともにある。
全長36cmの留鳥。真っ白にならないライチョウで、北海道の低地~亜高山帯に住んでいる。
「ダーウィンが来た!」では、「雪が爆発!?忍者エゾライチョウ」として取り上げられた。(https://www.nhk.jp/p/darwin/ts/8M52YNKXZ4/episode/te/9RJJ4K4GXP/) 

キジ

オスはちょんまげのような短めの冠羽と赤い顔が目立つ。留鳥で、全長はオスが81cm、メスが58cm。
オスは「ケーンケーン」と鳴く。
日本の国鳥。国鳥になった理由は、「男らしいオス/良妻賢母なメス」だからという説があるが、もう一つ「お肉の味が美味しいから」という強烈な説がある。(国鳥を肉の味で決める民族はなかなか居ないのではないかと思う) 

キンクロハジロ

馬のたてがみのような長めの冠羽がある。メスはオスより冠羽が短めだが、それでも化粧筆のような立派な冠羽がある。
全長40cmの冬鳥。黒白の体に黄色い目が目立つスズガモの仲間。公園の池など淡水域に住んでいる。 

ミコアイサ

全長42cmの冬鳥。オスは綺麗な白色と黒色の冠羽。メスは赤茶色のふわふわした冠羽がある。
オスは目の周りと後頭部の一部が黒く他が白いので、愛称は「パンダガモ」
白い体が神子衣装のようなので「神子秋沙」の名前がついた。池などの淡水域で小魚を食べて暮らしている。 

カワアイサ(メス)

メスは赤っぽい茶色の頭で扇子のような冠羽がある。
オスは冠羽と言うよりも後頭部が膨らんで見える。(少しだけぬらりひょんのような頭の形に見える)
全長65cmの冬鳥で、木の洞などに巣を作る。   

ウミアイサ

オスは頭が黒く刷毛のような長めの冠羽があり、目とくちばしと足がニンジンのような濃いオレンジ色で目立つ。
メスは全体的に薄茶色で、オスよりも短めで生えそろった刷毛のような冠羽がある。
全長55cmの冬鳥で、岩場の海岸を好む。



カンムリカイツブリ

冬羽は黒い揃った化粧筆のような冠羽があり、顔と細長い首の白色が目立つ。
全長56cmで、日本最大のカイツブリ。大型なので、潜水もゆっくり。
冬鳥で、湖沼などに住んでいる。夏羽になると黒い冠羽がフサフサになり、顔が赤茶色になる。 

ミミカイツブリ

夏羽のオレンジ色で幅広の冠羽が耳のように見えるのが名前の由来。全長33cmの冬鳥で、港などの海水域に住んでいる。ほとんど群れにならない。冬羽になると頬から上は黒色で下は白色になり、冠羽も控えめになる。 

ズグロミゾゴイ

赤茶色の全身に、濃い紫色の頭頂部と長い冠羽が目立つサギの仲間。
全長47cmの留鳥で、八重山諸島と宮古島に住んでいる。
類似種のミゾゴイは夏鳥で、冠羽は無くつるんとした頭をしている。     

タゲリ

ポニーテールが作れそうな長さで、まっすぐにピンと立った黒い冠羽がある。
全長32cmの冬鳥で、見通しの良い場所に群れでいることが多いチドリの仲間。「ミュー」と鳴いて飛び立つ。
冬羽では、背中が緑と紫を混ぜたような特徴的な色をしている。

ミサゴ

短めで黒と白の櫛のような冠羽があるタカの仲間。
全長はオスが54cm、メスが64cmで、翼を広げると1.55m~1.75mになる留鳥。
主に魚を食べて暮らすので、湖沼や河川、海辺などに住んでいる。 

カンムリワシ

白い頭に黒い小さな冠羽がホツホツと生えている。
全長55cmで、翼を広げると1.1~1.2mになる。
八重山諸島に住んでいる留鳥で、特別天然記念物。動物食で、ヘビを好んで食べる。 

ヤツガシラ

羽根ペンの羽根のような立派な冠羽の束がある。
サイチョウ目ヤツガシラ科ヤツガシラ属のユニークな野鳥。
全長27cmの旅鳥で、主に3~4月に日本に立ち寄る。
驚いたときや伸びをしたときに、頭の冠羽を扇のように広げる。
広げた冠羽が8本に見えることが名前の由来。 

ヤマセミ

長い黒と白のトサカのような冠羽があるカワセミの仲間。
オスもメスも、冠羽がモヒカンのようにシャキッと立ち上がっている。
全長は38cmで、カワセミの仲間としては日本最大。(カワセミは全長17cm)
留鳥で、山の中のダム湖や渓流に住み、魚などを捕って生活している。

サンコウチョウ

黒い頭に控えめで短い冠羽がフサフサしている。
オス同士の縄張り争いなどの時は冠羽を逆立てて激しくさえずる。
オスは体長の3倍ほどもある黒く長い尾羽と青いアイリングが目立つ、カササギヒタキの仲間。全長はオスが45cm、メスが18cm。
夏鳥で、薄暗い杉林の沢近くを好む。 


ヒガラ

短く小さい、トゲのような冠羽があるシジュウカラの仲間。
黒いベレー帽のような模様と短い冠羽がドングリの帽子のようで、可愛らしい。
全長11cmとかなり小さな野鳥。シジュウカラ類の中で最小の種。
(スズメは全長15cm、日本最小の野鳥キクイタダキは全長10cmで体重5g)
留鳥又は漂鳥で、冬には混群に混じって公園で暮らしていることもある。
 

【小さな日本の野鳥を紹介する記事はこちら】

【関連記事】
小さな日本の野鳥 見かけの体長順(スズメより小さい~スズメ大の野鳥57種

http://watari-ni-sekirei.com/2022/08/11/%e5%b0%8f%e3%81%95%e3%81%aa%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e9%87%8e%e9%b3%a5-%e8%a6%8b%e3%81%8b%e3%81%91%e3%81%ae%e4%bd%93%e9%95%b7%e9%a0%86%ef%bc%88%e3%82%b9%e3%82%ba%e3%83%a1%e3%82%88%e3%82%8a%e5%b0%8f/



ヒバリ

雌雄同色で上半身が褐色、お腹は真っ白で、刷毛のような目立つ冠羽がある。
全長17cmの留鳥。晴れた日に飛ぶことから「日晴れ鳥→ヒバリ」と名前がついた。
上空を飛び回りながら賑やかにさえずる。 

キレンジャク、ヒレンジャク

長く生えそろったフサフサの冠羽がある。
赤みを帯びた黒い顔周りと灰色のモフモフの体が可愛らしい、レンジャクの仲間。
尾羽の先端が黄色なのがキレンジャク、赤色なのがヒレンジャク。
両方とも冬鳥で、2種が混じった群れで行動していることもある。
全長はキレンジャクが20cm、ヒレンジャクが18cm。
キレンジャクは年によって渡来数の増減が大きく全く渡ってこない年もあるが、ヒレンジャクはキレンジャクほどの増減はない。   

カシラダカ

漢字で「頭高」と書く。
冬羽では毛色が茶色っぽいクリーム色で、短い冠羽が生えそろって薄いハンバーグのような形になっている。
夏羽になると冠羽はなくなり、頭が黒と白になる。
全長15cmの冬鳥で、九州よりも北に渡ってくるホオジロの仲間。
開けた場所が好きで、10羽くらいの小さめの群れで地面に降りて食事をする。 

ミヤマホオジロ

正面から見ると葉っぱのような形に見える、化粧筆のように生えそろった冠羽がある。
オスは頭の黄色と黒が目立ち、メスは薄茶色と淡い黄色が可愛らしい。
全長16cmの冬鳥で、全国に局地的に渡ってくる。平地林や公園に住み、地上で種子などを食べて暮らしている。

(日本にいない時期には冠羽がある野鳥)

ヘラサギ

成鳥の夏羽はヘラのようなくちばしの先っぽと胸元が黄色く頭にも黄色い冠羽があるが、
冬羽になると冠羽がなくなり胸の黄色みもなくなる。
日本では冬鳥なので、残念ながら冠羽のある夏羽を日本で見ることはできない。
全長83cmのトキの仲間で、クロツラヘラサギの群れに混じっていることが多い。 

クロツラヘラサギ

繁殖地が朝鮮半島西海岸の島々しかない、世界的に希少なサギの仲間。毎年冬に九州地方に渡ってくる冬鳥。
夏羽になると冠羽が伸びて「はたき」のようになる。
冬羽になると冠羽がなくなり胸の黄色みもなくなるので、こちらも残念ながら日本では冠羽が見られない。
ヘラサギと比べるとくちばしが先端まで真っ黒で、目の周りも黒色をしているので「黒面」の名前がついた。
全長は77cm。 

後編へ続く

後編へのリンク

http://watari-ni-sekirei.com/2022/11/04/%e9%a0%ad%e3%81%ab%e3%83%95%e3%82%b5%e3%83%95%e3%82%b5%e3%81%8c%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6%e3%81%84%e3%82%8b-%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e9%87%8e%e9%b3%a5%e3%81%9f%e3%81%a1-%e5%be%8c%e7%b7%a8/

後編の名簿

「冠羽のみ」

 オシドリ(オス) ゴイサギ ササゴイ アカガシラサギ 
 アオサギ ムラサキサギ コサギ  

「フサフサのみ」

 アカエリカイツブリ(夏羽) カワウ ウミウ アマサギ(夏羽) ジュウイチ 
 ツツドリ ヨタカ アカエリヒレアシシギ エトピリカ アリスイ 
 コゲラ カケス キクイタダキ シロガシラ ヒヨドリ マキノセンニュウ 
 シマセンニュウ オオヨシキリ コヨシキリ ギンムクドリ アトリ 
 ホオアカ キマユホオジロ ガビチョウ 

おまけ フサフサ眉毛? フクロウの「羽角」 

オオコノハズク コノハズク リュウキュウコノハズク 

           
シマフクロウ     トラフズク      コミミズク

 フクロウ(メンフクロウ)
実は、「フクロウ目フクロウ科フクロウ族フクロウ」には羽角がない!
メンフクロウとも呼ばれる「フクロウ」は、神秘的で月のような顔をしています。
新月のように艶やかなフォルムで、「頭がフサフサ」には見えませんが、
鼻の上はけっこうフサフサです。かわいいですね。

後編のおまけ かわいい冠羽とほっぺ オカメインコ

     

オカメインコ

後編へのリンク

http://watari-ni-sekirei.com/2022/11/04/%e9%a0%ad%e3%81%ab%e3%83%95%e3%82%b5%e3%83%95%e3%82%b5%e3%81%8c%e3%81%a4%e3%81%84%e3%81%a6%e3%81%84%e3%82%8b-%e6%97%a5%e6%9c%ac%e3%81%ae%e9%87%8e%e9%b3%a5%e3%81%9f%e3%81%a1-%e5%be%8c%e7%b7%a8/

あとがき

「毛が生えているのに、生えそろいすぎていて艶やかに見える」野鳥の頭は、とても不思議で愛らしいですが、その中でも「頭にフサフサがついて見える野鳥」は、見ているだけで楽しくなってきます。
今回は「冠羽とフサフサの関係性はどうなっているのだろうか」と興味本位でまとめてみましたが、個人的には
「野鳥の冠羽はフサフサしていることが多い」
「冠羽がなくても頭がフサフサの野鳥も多い」という感じかなと思いました。
日本にもこんなにフサフサ頭の野鳥が暮らしているのだと思うと、嬉しくなってきます。
みなさんも頭のフサフサに注目しつつ、野鳥を愛でましょう。

画像出典、参考書籍

画像出典:Pixabay、photoAC、いらすとや 、Beautiful Free Images & Pictures | Unsplash
《参考書籍》
・監修:樋口広芳 著:石田光史 『ぱっと見わけ 観察を楽しむ 野鳥図鑑』 ナツメ社 , 2018年9月10日 第15刷発行 
・大橋弘一 『日本野鳥歳時記』 , ナツメ社 , 2015年12月31日 初版発行
・植田睦之[監修] 『日本の野鳥 さえずり・地鳴き図鑑』  増補改訂版 , メイツ出版 , 2020年10月30日 第1版発行
・一日一種[著] 『身近な「鳥」の生きざま辞典』 , SB Creative , 2021年6月10日 第6刷発行

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